研究室に興味のある方へ

小沼グループで研究をするには、1) 理学部の学部学生として3年生後期より研究室に配属する、2) 鹿児島大学理工学研究科 (修士課程/博士課程)の大学院生として入学する、の方法があります。理学部の1-3年生は 3)サイエンスクラブ (理数教育プロジェクト科目)で、1年単位の研究活動を行うこともできます。

どの場合も、事前に研究室に訪問されること(リモートで小沼と話し合うのもOK)を強くお勧めします。オタマボヤの使用経験は問いませんが、研究室の方針や、研究テーマについて詳しくお話しすることが重要です。

学部学生

大学入学時に、鹿児島大学理学部生物学プログラムを志願してください。3年生後期の研究室配属で小沼研究室を希望してください。理学部入試はこちらです。

大学院生

8月および2月に行われる鹿児島大学理工学研究科の入学試験において、生物学プログラムを希望して合格することで修士課程/博士課程の学生として小沼研究室を希望できます。学外の方や、外国人留学生の配属も歓迎いたします。理工学研究科の入試はこちらです。

(大学院への進学を希望される方へ)試験出願の前に「必ず」小沼まで連絡してください。進学後に究めたいこと(研究テーマ)を細部まで話し合うことが必要です(内部の方は4年生の時点でそうなっているはずです)。外部からの進学希望者は、見学やオタマボヤの使用体験を含めた、複数回のやりとりをお願いすることがあります。

以下は、独断と偏見によるQ & A

Q. オタマボヤや発生生物学に詳しくないのですが、大丈夫ですか?

A. 小沼とお話をして、少しでも興味を持った方は大丈夫だと思います。発生学やオタマボヤの知識は、心がけ次第で配属後でも身につきます(小沼は学部3年次前期と、修士課程の前期に発生学の講義を行っています)。研究室での議論は、学部レベルの分子生物学の専門知識を使いますが、みんな配属後に慣れます。

Q. 研究室では何を重視しますか?

A. 「1。正直でいる(失敗を隠さない、抱え込まない)」「2。分かるまで、何回でも相談する(対話する)」です。これらができる人は例外なく、ある程度の期間があれば(ゆっくりでも)着実に成長して、結果を出しています。

あとは「3。毎日、研究室に来て活動する」「4。こまめに記録をとって共有する(ノートをとる、進捗報告を行う)」です。実験系の研究室では、こうして毎日のように試行錯誤を重ねなければ、よい条件(実験が上手くいく条件)はなかなか見つかりません。当たり前ですよね。魅力のある研究テーマは、これまで他人が手がけていない着眼や手法を実現するために行うのですから。

まとめると「5。手を動かしてください。理屈は大事だが、行動はもっと大事です」だと思います。

Q. 毎日の生活はどんな感じですか?

A. 「平日は毎日、朝10時までに来る」と「遅刻・欠席は連絡する(無断欠席しない)」の2つが厳守です。オタマボヤは研究室で継代飼育していて一年中使えますし、ほとんどの実験は1日以内に終わるため、色々な実験を試しやすいです。土日は、動物のお世話当番が回ってくることがあります。現在は、毎週3回、朝10-12時にミーティング(進捗報告または論文購読)をしています。数週間に1回、進捗報告の当番がきます(月単位で「OOの実験データをとる」などの予定を定めることが多い)。これに限ることなく、いつでも相談に乗ります(居室のドアは空けています)。

Q. 研究テーマはどのように決めるのですか?

A. 初めにいくつかのテーマを提示して、その中から選んでもらうことが多いです。オタマボヤの「単純な実験動物」という独自性を活かした内容を意識しています。◯◯をやりたい(神経系を調べたいなど)など希望がある人には、なるべくそれに合うテーマを考えます。研究室には、顕微注入・胚操作(割球単離等)・遺伝子の発現や機能解析・培養細胞の活用・蛍光3Dイメージング・タイムラプスビデオ撮影・電子顕微鏡観察など、「遺伝子から個体まで」様々な手法のノウハウがあります。これらをアレンジして理解を進めます。

 オタマボヤは独自の生物現象の宝庫です。他方で、類似の研究例が少ないこともあり、研究が軌道に乗るまでは試行錯誤が必要なことも事実です。ただ、いったん軌道にのせると独自の実験を続けることができます。このときはしっかり実験系を動かして、データをためていきましょう(幸い、これで卒業できなかった人はいない)。各人の努力を無駄にしないよう、学会発表や論文として「完結させる」か、次の担当者に「引き継ぐ」ことを重視し、それに十分な客観性・再現性をもつデータを取るよう指導しています。これは学部1-3年生の研究体験でも全く同じです。

Q. 研究室に入る準備は何がありますか?

A. 3年生後期に研究室に配属します(生物学演習)。ここで分子生物学実験の基礎や、顕微鏡の使い方、データの整理、オタマボヤの飼育などの基本を教えますので必ず参加ください。その上で「オタマボヤの特長と使い方」「少数派の生物を活用する意義」について理解を深めることになります。

 研究テーマを決めるのは通常、4年生になってからです。理由は簡単で、生物学演習(基礎訓練)をせずに研究を始めて問題が起きるリスクを避けるためです。メンバー(特に新人)の誰かが「高価な試薬をダメにする」「機器を壊す(または不調にされる)」などの不安がある状態では研究はできません。楽しく実験するには、全員が最低限度の訓練を受けているのが前提となります。

Q. 研究テーマが始まってからのポイントは?

 2つだけ書きます。

 研究技術について、基本をしっかりと覚えてください。(1)小沼や先輩が確立したプロトコルを教えてもらう場合、初めは特にきちんと反復して、安定して信頼できるデータをだせるよう練習ください。ポイントは「プロトコルを勝手に変えない」「変えたい(工夫を施したい)なら、元の方法をほぼ完璧に理解した上で、その理由を周りに相談してから」です。実験が回せない人は、プロトコルを勝手に変える傾向があります(3回洗うところを2回にしたり、そもそもプロトコルを正確に読めないなど)。それをやると、他の人と違う結果になった時に、理由が全くわからなくなります。優れた人は、そんな無駄なことに頭は使いません。きちんとコントロールをとり、結果の正しい解釈ができるかや、次の実験で調べることなどの大事なことに頭脳を使います。

(2)新たに実験系を動かす場合も(新しい手法の導入ばかりではなく、「これまで見てない発生段階や角度から写真撮影する」もこちらに該当します)、(1)とポイントは似ており、実験系がきちんと動くように条件検討を積み重ねることになります。コントロールをきちんと確立できたら、あとはサンプルを調べれば良いのです。どちらの場合でも、経験を積んで、基本的な実験設計が条件反射のようにできるようになるほど、研究も実験もおもしろくなり、結果の見通しも早く得られます。

 もう一つは対話です。研究テーマの独自性には自信がありますが、実験により示さなければ何の意味もありません。進捗報告では「何を知りたいのか」「そのために、どんな実験をするのか」「その実験は、どんな原理なのか」「どんな条件で実施したのか」「どんな結果だったか」「どう失敗したのか(期待通り行かなかったのか)と考えられる理由」「次は何をするべきか」などを具体的に説明してもらい、話し合いをします。説明がいい加減だったり、前提すら理解できてない場合は厳しく指摘されます。研究では「自分の実験がどんな本質的な問題につながるのか」や「プロジェクトを発展させるためにどんな実験を組めば良いのか」を次々と考えることになります。そのためにも、説明や対話の数を重ねてください。これらを経ることで、ほとんどの4年生は信頼に足りるデータを得ることができています。

 (ごく少数ですが) 上記が著しく欠けている方や、何回も指摘しても改善の見込みがない方には、「テーマや分野を変えた方が良い」(「進学しても不幸になる」という意味も含む)とはっきり伝えることがあります。もちろん研究テーマは軌道に乗るまで、ある程度は時間がかかることは承知しています。しかし下に述べるように、研究テーマは外部から託されたお金で動いており期限があるものがほとんどなので、担当者に起因する問題で延々と停滞させることはできません。ごく当たり前のことですが、外部からの進学希望者(修士、博士、留学生など)もこのことは知っておいてください(まあ、分子生物学または顕微鏡イメージングの経験があれば、すぐ溶け込めると思います。それ以外の人も、不安でしたら相談ください^^)。

 こうして長々と書くと「なんか大変そう。自分はやっていけるのかな?」と思ってしまいそうですね。いえ、学生の頃なら、実はたった一つあれば研究は楽しくできます。それは「自分から聞きに行く姿勢」です。

Q. 自分から聞かないとダメですか?恥ずかしいのですが。

A. はい、ダメだと思います(ハッキリ言います)。周りの研究者も、優れた人ほどよく周りに聞いていると感じます(私は優れてませんがTT、周囲に相談して足りない点を指摘してもらうことは常にやっています)。

 進捗報告や論文購読など、周りに意見を聞く機会も積極的に活用してください。研究を始めた頃は、実験の組み方も、装置の使い方も、動物の扱い方も、問題解決のポイントも、データを分かりやすくまとめるポイントも、何もわからないのが普通です。うまくいかない時も、というよりうまくいかない時こそ、それをきちんと整理して周りに聞くことが大切だと思います。

 正しく聞く姿勢があれば、私も他のメンバーも親身になって何度でも教えてくれます。え? 何度行っても教えてもらえない?、、、それが続く時は、あなたの方に、正しく聞く姿勢があるか(言われたことをメモや記録にまとめたり、教わったことを一度は素直に実践しているか)を振り返ってください。先輩が教えているときに全くメモを取らなかったり、教えた通りに実践しなかったりしてませんか? (それで失敗されたら、教える先輩方だって嫌になるでしょう) もう一度言います。正しく聞く姿勢があれば、私も他のメンバーも親身になって何度でも教えてくれます。

Q. どんな学会に参加できますか?

A. 主に参加しているものだと、日本動物学会(9-10月)や日本発生生物学会(6-7月)、ホヤ研究会(隔年)、国際被嚢類会議(隔年)、ユニーク会(毎年)などです。筆頭で発表する学生には可能な限り、旅費・宿泊費の援助を行います。

Q. 金銭面でのサポートはありますか?

A. これはやや答えにくい質問です。基礎研究の主な財源は研究費(科研費など)や助成金(財団の寄付金など)ですので、潤沢な時期もあれば無い時期もあるからです。私は学生やメンバーに聞かれたら、包み隠さずに話すほうです。たとえば「研究費の都合で、○○の実験は今年中に進める必要性が高いです」「今年は研究費がありません。そこで〇〇のような計画で進めましょう」などです。

どのみち研究ではできる限り、メンバーにお金の負担をかけないようにしています(当たり前だね。ただし、飲み会やお茶菓子などの費用は対象外です ^^)。円滑に研究を進めるため、メンバー全員に大容量のハードディスクを貸与しています(引き継ぎもしやすくなりますからね ^^)。

Q. 先生は厳しいのでしょうか?

A. 優しいです(自分で言うな)。むろん、全員の研究テーマを回すために相応の指導は心がけていますから、平日に無断欠席する・連絡に応えない・約束を守らない・問題をはぐらかすなどの行為をすれば容赦なく指摘しますが、これが厳しいとは思いません。少なくとも、理不尽な理由で怒るようなことは無いはずです。え、本当かどうか怪しい?それでは研究室に来て、他のメンバーに聞きましょう ^^

鹿児島大学 大学院理工学研究科 理学系

生物学プログラム

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Graduate School of Science and Engineering, Faculty of Science

Kagoshima University

1–21–35 Korimoto, Kagoshima 890– 0065, Japan

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